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祥伝社 |
「渡来氏族の謎」 |
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現職 |
専門・著作 |
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加藤謙吉著 |
1948生 |
三重県 |
早稲田第一文学部 |
成城大学・ |
日本古代史、特に氏族研究 |
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中央大学講師 |
蘇我氏と大和王権 |
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大和政権と古代氏族 |
| (1) |
古事記・日本書紀によれば渡来氏族の移住を伝える始祖伝承は、応神朝と雄略朝に二分される |
| (2) |
応神朝の移住先は、畿内や西日本各地で、各地の有力主張のもとに分散して帰属した。 |
| (3) |
この頃のヤマト政権の実態は、列島各地の首長たちによる連合政権であり、盟主である畿内の |
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大王(オオキミ)は、外交権こそ掌握しているものの、統制力は弱く、各地の首長たちは、王から |
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半ば独立して、土地や人民を支配していた。 |
| (4) |
神功紀5年葛城氏の始祖葛城襲津彦(そつひこ)が新羅から連行した俘虜の子孫が |
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桑原・佐糜・高宮・忍海の四邑の漢人であると記す |
| (5) |
大泊瀬幼武(おおはつせのわかたけ)は、父允恭天皇の死後に勃発した内乱的状況を武力で |
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収束、ライバルとなる王族や「葛城」氏をことごとく葬り去って大王の君主号を名乗った最初の人物と推定される。 |
| (6) |
即位後、彼の私兵集団を率いた豪族(のちの大伴氏や物部氏)が伴造(とものみやっこ)となって、 |
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大王直属の軍事組織が編成され、大王の力は急速に伸長し、地方の首長層を圧倒するようになった。 |
| (7) |
それに伴い、渡来人の貴族形態に大きな変化があり、多数の渡来人が移住してきたが、地方に分散居住せず、 |
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王権の意向で畿内の河内や大和に住まわされ(「安置」という)、 |
| (8) |
最新の技術や知識(特に鉄器の増産に貢献)をもって王権に奉仕することになる。旧来の地方に帰属していた |
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渡来人にも、大和王権の支配が及ぶことになる。 |
| (9) |
主要渡来人 |
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東漢氏 |
やまとのあや |
檜前を本拠とし、坂上田村麻呂につながる最大の氏、軍事面強く大伴氏、蘇我氏に接近した |
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西漢氏 |
かわちのあや |
河内が本拠とするがやや、影が薄い |
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秦氏 |
はた |
応神期に帰化した巨大氏族、現代にも人名・地名が数多く存在し、養蚕、機織(はたおり)、 |
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酒造、製塩にも強い |
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西文氏 |
かわちのふみ |
大和政権の体制整備が進むと共に、文書行政が必要になり、渡来系の有識者からなるフミヒト、 |
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フヒト、文人、史、史部等々と呼ばれるの書記官の組織が編成されて残った大きい組織 |
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難波吉士氏 |
なにわのきし |
6～8世紀の国際港難波での迎賓活動に当たった渡来人 |
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2 |
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中央公論新社 |
「倭の五王ー王位継承と5世紀の東アジア」 |
現職 |
専門・著作 |
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河内春人著 |
1970生 |
東京都 |
明治大学文学部 |
関東学院大学 |
日本古代の地域と交流 |
| (1) |
倭の五王の登場する4世紀後半(倭国「空白」の時代)の東アジアの情勢 |
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中国では、高句麗を悩ましていた前燕を東晋を滅ぼした(370)ことで、高句麗が南下攻勢を開始、百済は、東晋に朝貢すると |
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共に、倭国との関係を構築し、百済・倭国はこの時期対等な軍事同盟を結ぶ。その象徴が石上神宮の七支刀である。(369年) |
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遼東地方が不安定な情勢によって流民が発生し、幽州・冀州から、高句麗に流入する人が多かった。 |
| (2) |
高句麗の広開土王(391～412年在位)時代には、倭軍が400年に騎馬戦で敗退、404年帯方郡沖で海戦とか、 |
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しきりと倭国の進出記録がある。 |
| (3) |
その後、倭国は高句麗・新羅連合を牽制すべく、413年讃が東晋に、425年宋に、430年宋に、438年珍が宋に各入貢している。 |
| (4) |
河内春人氏は、宋書から五王の在位期間を以下と推定されている。 |
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(河内春人氏は、明確な天皇名をさけられているが、 |
私(小森)の古代ヤマト史的見方は、以下とみたい |
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多くの見方は下記の通り) |
日本書紀記載在位期間とは、相当差異がある。 |
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[ 在位期間 推定年 ] |
↓ |
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宮内庁(日本書記?) |
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武 |
478 |
502 |
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雄略天皇(21) |
武 |
武烈天皇(25) |
498～506 |
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興 |
462 |
477 |
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安康天皇(20) |
興 |
仁賢天皇(24) |
488～498 |
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済 |
443 |
461 |
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允恭天皇(19) |
済 |
顕宗天皇(23) |
485～487 |
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珍 |
438 |
440 |
讃の弟 |
反正天皇(18) |
珍 |
雄略天皇(21) |
456～479 |
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讃 |
421 |
435 |
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仁徳天皇(16) |
讃 |
安康天皇(20) |
453～456 |
| (5) |
五王には3系列があり、系列のつなぎに相当な軋轢紛争期間がある。 |
この後断絶の後、越の勢力が物部氏と共に継体天皇 |
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1.讃・珍 系列 |
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を、応神天皇の流れとして大王(天皇)に担ぎあげる |
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2.済・興・武 系列 |
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3.継体天皇系列 |
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| (6) |
ホムツワケ(応神天皇)五世孫という系譜で、大伴・物部・巨勢の大豪族が推戴し、継体天皇(26)が507年樟葉宮で即位するが、 |
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ヤマト入りするのは、即位20年目になる。継体天皇は、宋に朝貢せず、宋との冊封関係から離脱し、世襲する王権を確立した。 |
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3 |
| 上記を参考にさせて頂いて、空白の4世紀を含め、以下の通り古代ヤマト史的な総括をしたい。 |
| ① |
4～5世紀の倭国は、 |
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王権抗争の激しい時期 |
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中国から多数の渡来人が来て |
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在来日本人との融合が進み |
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ヤマト政権の中枢機能に相当関与するようになった。 |
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| ② |
王権継承 |
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一見順調完全につながっているように見えるが、かなりの抗争断絶があった。 |
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讃・珍 系列→ |
済・興・武 系列→ |
継体天皇系列 |
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の系列交代期には、それぞれ10年単位の期間を要したのでは、ないか |
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| ③ |
4～5世紀の中国 |
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東晋、前燕、前秦等々、興亡続く間、中国難民が大量に発生し、高句麗に逃げ込み |
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このうちかなりの人数が、半島経由朝鮮人と共に渡来人として、倭国に入ったとみられる。 |
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かくして、半島から、文字、製鉄、古墳造営ノウハウをもった、中国渡来人が |
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朝鮮人に先導されて、先ずは豪族配下に入り、抗争戦力として活動したのではないか。 |
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| ④ |
渡来人の貢献 |
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例えば 東漢氏=軍事、秦氏=殖産、西文氏=行政、難波吉士氏=外交 それぞれに長け、 |
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豪族の軍事、国の殖産、ヤマト政権の中枢機能(行政・外交)に渡来人が関与貢献してきた。 |
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| ⑤ |
空白の4世紀 |
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日本書紀では、仁徳天皇在位が、4世紀を埋め尽くしているが、 |
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抗争の実情や多数の渡来人の倭人と同化していく過程 |
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をヤマト政権/豪族/ 渡来人 共に歴史に残したくなかったので、空白の4世紀となったのではないか |
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表紙に