国宝高松塚古墳壁画“飛鳥美人”を救え！ H19.8.6受信
工学博士 北岡祥伯
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何日になれば、文化庁は、高松塚古墳壁画の退色の防止策を講じるのですか？
文化遺産の永年保存とは、”酸化反応“および”宇宙線”との闘いです。
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１３００年間保存されて来た高松塚古墳壁画が、どうして、１９７２年の発掘後、
急速に劣化が始まったかを、各自お考えください。
２００７年４月から始まった高松塚石室解体により、３６年間の文化庁の保存対策の
根本的な過ちが、白日の下に曝されています。
発掘時の鮮明な色彩は失われ、漆喰は粉状化し、カビの発生は各所に見られ、
応急処置に使用された合成樹脂による汚染等が報じられています。
１３００年間古墳内部は外界と遮断され、低酸素状態で保存されて来た壁画に、
発掘と同時に、新しい空気および胞子が流入し、その後も点検と称して人が出入り
を繰り返したために、壁画の劣化が加速されました（鎌倉時代の盗掘者は古墳を
密閉しました。）。
今後１０年を要して、断熱建物中で、壁画を補修するとのことですが、空気中で
壁画を保管する限り壁画の顔料の退色は停止しません。
発掘直後の写真と現在の写真とを比較して下さい。
カビが発生していない箇所でも、壁画の退色は進んでいます。
盗掘孔前の保存施設、冷却施設（２００６年に除去）および補修用断熱建屋等
は、壁画の退色防止に役立ちません。今までに費やされた“費用とその効果”
について、是非、公表して下さい。
再発防止にためにも、今後の保存を考える際にも必要な手続きです。
“中学理科”程度の知識と判断力があれば、壁画の劣化（退色）は、空気に触
れたことに起因することは理解出来る筈です。
古墳上部の土壌および版築は、宇宙線の影響（顔料の励起、イオン化）を弱化
するのに必要な物質です。 世界中で、洞窟や、地中から壁画が見出される一因
になっています。
高松塚古墳保存関係者は、”保存“に関して、真摯に考えたことがあるのでしょうか？
歴代の保存関係者は、職責の重要性の認識も無く、己の保身のための行動を継続
したとしか考えられません。
過酸化水素、オゾン、レーザー等による除染を検討されているようですが、漆喰
および壁画顔料の劣化（酸化）を加速します。また、合成樹脂の使用も検討されて
いるようですが、数十年後には、樹脂自体も劣化します。
永年保存とは、数十年では不充分で、数百年を目標にすべきです。
補修、補色を施せば、施す程、オリジナルな部分は失われて、文化遺産としての
価値は低下します。
補修状況を一般公開するとのことですが、壁画は、本来の状態で公開するのが、
原則であり、ご先祖のご意向に沿った公開方法ではありません。
“星座”は見上げるのではなく、見下げるのですか？ 漆喰の空間も壁画の一部で、
構成にも配慮すべきです。
保存の原理、原則を無視し、カビに責任を転化して石室解体まで行い、未だ、壁画
の退色の原因を特定できない文化庁に、高松塚壁画の保存を任せることは出来ません。
純粋な科学的課題を、政治、経済の課題に摺り替え、世界的文化遺産の壁画を消滅の
危機に曝しています。
ご先祖が、鎮魂のために築造した古墳を解体し、供養のために描かれた壁画を、
非科学的保存方法により、劣化を加速させました。
ご先祖を崇拝せず、子孫への配慮に欠如した民族は、必ず滅びます。
元の場所に戻し、不活性ガス下で、高松塚古墳壁画は永年保存すべきです。
「飛鳥・藤原の宮都とそ関連資産群」として世界遺産暫定リストに登載される
ことが決定されたことは、誠に喜ばしいことです。
しかし、“解体された高松塚”および“壁画の剥ぎ取られたキトラ古墳”は、
登録条件である資産の真正性（authenticity）および完全性（integrity）に合致しません。
ここ数年来、“窒素ガスを使用しての古墳壁画の現場保存”を、文化庁に訴えて
きましたが、未だ実現しておりません。
私の主張の正誤は、空気中と窒素ガス中とでの壁画顔料の“退色比較実験”で
判定出来ます。
稲荷山古墳の鉄剣は、窒素ガス下で、アメリカの独立宣言書は、アルゴン気流中
で保存されています。技術先進国であるアメリカ合衆国国民が、何故、独立宣言書
を大切に保存するかをお考えください。
食品業界では、品質の劣化（酸化）の防止のために、窒素ガスが利用されています。
国家権力を傘に、劣化の真因も理解せず、突進する文化庁の行為は看過出来ません。
日本国民の皆さん、市民参加の“文化財保護制度”の確立に向かって
邁進しましょう！
